自宅から江戸川まで歩いていける距離だということは知っていました。でも、江戸川で釣れる魚に興味がなかったので、今まで行くことはありませんでした。そう、テナガ番長の一言があるまでは……。

それは霞が浦へ番長と釣りに行く前日のこと。
「家ってどこでしたっけ？」
番長には何度か家の前まで送ってもらっていたのだが、迎えに来てくれるのに確認の電話だった。家の住所を告げると、ネットの地図サイトを見ていた番長が一言、
「もしかして江戸川近くない？」
「歩いていけます、ハイ」
「テナガ釣り放題じゃん！」
そう、今日の釣行はこの一言で始まったのです。

朝からの曇天、しかしネットの天気予報サイトを見る限り、東京東部は雨は降らないっぽい。アメダスの６時間予報を見ても、雨は降りそうもなかった。
な・ら・ば
今日こそ、番長に言われて気になっていた江戸川テナガマンションの探索に行くべきだろう（渓流は遠いし金が掛かるので却下）。
とりあえずこの前のテナガバーベキューの時に買った竿と、番長からいただいたオリジナル仕掛けもある。でもそれだけでは心もとないので（替えの針もないんですから……）、近くの上州屋で必要なものを買い足すことにした。店内で、番長オリジナルの仕掛けを自作するべく、番長に電話。
「お忙しいとこすみません、番長の仕掛けのアレってなんですか？」
てっきり仕事中だと思ったら、電話からは暗い声が……。
「今日起きたら、のどが痛くて、お腹にも来てて、頭も……」
「それって、俗に言う風邪では？」
「今日休んでます。原稿遅れます」
「……」
番長の仕事が早く終わりそうであれば、一緒に釣りに行こうと思っていたのだが、そんな場合ではないようです。
お大事に……。番長の分のテナガも釣ってくるぜ！　と、仕掛け一式とエサのアカムシもゲット。しかも、キャンペーンでおこなっていた福引きで特賞が当たり、ポイント５倍！　なんかついてるぞ！

で、家に帰り、徒歩で江戸川へ向かう。空はますます暗くなり、風も嫌な感じに吹いてきた。でもまぁ、降ってきても歩いて帰れるんだし、そんなに気にすることないか。
念のため、折り畳み傘を持って出発。こんな天気の日に、しかもこんな時間に竿とバケツを持って江戸川へ向かうまさかずを見る、すれ違う人々の視線が心無しか冷たいような……いや、きっと気のせいだろう。
江戸川に到着するも、人の気配無し。そりゃそうだ。
早速川に向かうが、テナガのいそうなポイントではない。しばしうろつく。辺りを見回すと、杭が出ているところがあった。しかも、その付近に釣り人発見！　情報をもらおうと近付く。どうやら、ぶっこみ釣りのようだ。コイか青魚か？
「すみませ〜ん、何釣ってるんですか？」
「コイです」
「この辺りでテナガエビって釣れますかね？」
「向こうに岩がゴロゴロしているところがあるから、そっちで釣れるみたいだよ」
「ありがとうございます」
親切な釣り人が教えてくれたのは、さっきうろうろしていた辺りの少し先だった。そこがテナガのポイントらしい。意気揚々と戻ってみる。すると、いかにもテナガの居そうなゴロタがあるではないか。さっそく釣り開始！
そもそも、今の時期にこの辺りで釣れるの？　という疑問もあったが、遠くまで来ているわけではないので、別に釣れなくてもいっかぁ。と第一投。
すると、すぐにアタリが！　しかし、乗らない。が、またすぐにアタリ。来た〜！　ダボハゼ（笑）　しかし、ダボハゼがいるってことは、テナガも居そうな気配。
ス〜ッ
ウキが動いた。クン、クン、クン、今度はゲット！　さすがは番長特製仕掛け。初心者でも簡単に釣れるなぁ。
立続けに２尾目ゲット。そして、３尾目のアタリが……ん？　根掛かりしたか？　いや、違う。グングンと引いている！　大袈裟ではなくて、６尺のノベ竿が満月を描いてあがってきたのは、ザリガニかと見間違うようなジャンボテナガエビ！（略してジャンテナというらしい）。釣ってビックリ見てビックリ、引きも凄かった。バケツに入れて、前の２尾との大きさの差は歴然。
勢いに乗って仕掛けを投入すると、またまたアタリ！　しかも、またものすごい引き！　またジャンテナか！　と思ったら、あがってきたのはジャンボダボハゼ（笑）。テナガだと思ったのでガックリだ。
ポツポツポツ
ここに来て、雨が降ってきた。すかさず、折り畳み傘を取り出す。もしかしたらすぐやむかもしれないし〜などと甘い考えで傘を片手に釣りを続けていたが、雨足はどんどん強くなり、土砂降りになってきた。あがる気配もなく、釣りはじめたばかりで残念だがここで撤収。
今日はとりあえずテナガポイントがわかっただけでも収穫ありとしよう。

テナガエビ（5〜17cm）・・・３尾
ダボハゼ・・・数尾

テナガエビ１尾・・・７００円（仕掛け新規購入代が高かった……）