第一回 テナガエビを斬る!
 
やぁみんな、 ミノーイングしてる?
おい、テナガエビの話じゃないのか、ってあんた何よ?
どこからみてもブラウントラウトでしょ
よくわからんが・・・あのまずいやつか。
っておい、魚食べるのかよ!
テナガエビはうまいのか?
大きいのは殻が硬いから丸のみするとツライけど、なかなかウマイ。
そうか、それは一度食べてみたいものだな。どうやって釣るんだ?
アカムシだよ〜。僕はあまり好きじゃないんだけどね、小さいから。
タナゴ釣りみたいだな。
そうそう、タックルも仕掛けもタナゴとほとんど同じだよ。
針も市販のテナガエビ針よりタナゴ針の方がかかりがいいんだ。
気軽にできそうだな。
そうそう、気軽にできるのがいいんだ。
トゥイッチ*とかするのか?(*ルアーフィッシングで竿先を小刻みに動かすテクニックのこと)
・・・
(こ、こわ・・・)ところでどうやって釣るんだ?
ハゼ釣りみたいな感じ。テナガエビが独特なのは、歩いたりエサを離したりするところかな。
ほう、それは面白そうだな。
ほかの魚とそのやり取りの仕方が全然違うから、ハマっちゃう。地味派手釣りだね。
やっぱりザリガニみたいにエサをハサミで掴んだのを釣り上げるのか?
テナガエビはちゃんと食わせないと釣れないんだ。歩いているのは、ハサミで掴んだ状態なんだよ。
動き出したら、まず軽くラインテンションをかける。かけ過ぎると離しちゃうから注意。
なるほど。それで?
テンションをかけるとアタリが伝わってくるんだ。そしたら、一度そこで停めて、テンションを張らず緩めズの状態にするんだ。エサを離さなかったら少しききアワセをする。食ったら暴れるからわかるんだけど、食わなかったらそれを繰り返して・・・
なるほど。異物感が強いと離しちゃうが、テンションをかけることによって慌てて食わせるってことか。テナガエビ、必・死・だ・な。
そう! でも安心してると水面ポチャするから、ドキドキする!
安い魚だな・・・
そうは言うけど、ジャンテナが掛かると凄い引きだよ!
なんだ? ジャンテナって。
ジャンボテナガエビの略さ。だいたい15cm以上がジャンテナで、20cmを超えるとマグナムサイズって呼ぶんだ、っていうか、テナガー番長がそう呼んでるだけだけど・・・。
20cm? そんなにでかくなるのか?
マグナムクラスはもう引き方が別物だよ。ちょっと大袈裟かもしれないけど、根掛かりしたかと思うくらい重くって、その後ゴツゴツ引くんだ!
それは面白そうだな。
でしょ? これはやってみなくちゃわからないよ。シーズンは梅雨時から梅雨明けしばらくの間だから、ぜひ一度やってみて。
ではさっそく行ってみるか。

釣り方と仕掛け

テナガエビの仕掛けは、竿は1.2m〜1.8mの振り出し竿(渓流竿の中を数本抜いて使っても可)。柔らかい方がいい。釣具店で1000円くらいで売っているものでOK。
ミチイト0.6号を竿の長さとり、ハリス止めを付け、ガン玉を打つ。ハリはタナゴ針をつける。間違っても市販のテナガエビ針なんかを買ってはいけない。タナゴ針は三腰、半月などがいいかも。
タックルをすべてそろえても、一人2000円あればおつりが来る。
エサはアカムシ。アカムシが手に入らない緊急時には、イカ刺しを小さくつける。

■ポイント
テナガエビはゴロタ(岩が転がっているところ)やジャカゴなどの障碍物周りに付いている。
おや? と思うポイントがあったら竿を出してみよう。
テトラ回りにもいるが、足場が悪いので釣る時は注意しよう。
昼も夜も釣れるポイントは変わらない。
いるところなら、同じポイントでもたくさん釣れるので、釣れている間は同じところで釣ろう。

重要なのは潮。潮回りによって、釣れるポイントが変わる。
場所にもよるが、基本的に水深が浅いところにいるようなので、釣れる水深を探るのが大事。
釣れていた場所でも、潮の上げ下げによって釣れなくなる。
釣れなくなったら、上げ潮なら浅場へ、下げ潮なら深場へポイントをかえる。
潮の速すぎる場所はエビが付きにくい。 ただし、底がゴロタなどの障害物ならばエビは付いている。
しかし、流れが速いところでは合わせにくい。

■昼の釣り
昼は、ウキは小さな玉うきか、シモリウキを数個付ける。ミャク釣りでも釣りになる。
ウキ下は、ガン玉が底に付くくらいに調整。
ウキを使う場合は、ウキが動いたら軽く竿を上げてラインにテンションをかける。
ビクッ、ビクッというアタリが伝わったら竿を上げるのを止める。
テンションをかけ過ぎるとエサを離してしまうので、テンションを張らず緩めずの状態にする。
その状態でしばらく待つと、再びアタリが来るので、軽くききアワセをする。
針掛かりすれば暴れて今までと違う引きになるので上げる。
まだビクッ、ビクッというアタリならば、無理に上げないで、上記を繰り返す。
(釣り方指導:テナガー番長)

■夜の釣り
夜釣りは、ウキは使わない。使うのは発光体。
ガン玉の上にルミコもしくはぎょぎょライトSSを付ける。
これはamemasu.comのオリジナル仕掛け。
仕掛けは底に沈めてOK。底でぼんやりと発光体が光っているのが見えるはず。
ただし、水深があるところや波があると見えづらい。
アタリがあると、発光体が動き、エビが歩いているのがよくわかる。
発光体がゆらゆらと揺れるあまり歩かない居食いのようなアタリもある。
この仕掛けだと、ききアワセている時もエサを掴んでいるのがよくわかって楽しい!
ルミコが動いたら、掛け方は昼間と一緒。
夜の方が大型が警戒心なく出てくるのでたくさん釣れる!
夜テナまじハマります。
目指せ、マグナム!


釣れたテナガエビは、昼間はブクを入れたバケツに。
夜は暑い日や2時間以上釣る時はブクブクを入れたバケツを使おう。
夜釣りをする際は、懐中電灯、ヘッドライトは必需品。足下に注意するように。
残ったアカムシは(というか1回ではまず使い切れませんですから)、また近いうちに釣りに行く予定があれば捨てずに持ち帰ろう。
完全にフタのしまらないタッパーに湿らせた新聞紙を箱型に敷き、その上にアカムシをなるべく重ならないように入れる。湿らせた新聞紙を上にかぶせて、タッパーのフタをする。タッパーは野菜室に入れ、数日ごとに新聞紙を湿らせれば3〜4週間はもちます。

そして実釣・・・

いたいいたい! でも気持ちいいかも・・・
この変態マスが・・・
自分だって喜んでたくせに!
まぁ、思ったより面白かったな。
「動け動け!」とか「離しちゃった〜!」とかちょっと異様な雰囲気だったがな。
そこがいいんだよ。地味な釣りなんだけど、派手に釣る。
一人でも楽しいけど、みんなで釣るともっと楽しいよね。
で、アタリがあった後は・・・(ウンチクが続く)
(次は一人で来よう・・・)
何か言った?
い、いや、別に。楽しかったな、と。
帰ってからまだ楽しみがあるよ。素揚げ、素焼き、テナガえびせんべい、テナガ海老フライ、テナガパスタ・・・いろいろ料理が楽しめるよ。
お前みたいに生で食べるヤツはいいとして、普通はどうやって下ごしらえとかするんだ?
ザルにテナガエビを入れて、粗塩でガシャガシャ洗ってね。3回くらい洗えばオッケー。
余裕があればブクを入れて3日くらい泥を吐かせるといいけど、別にしなくても大丈夫。
泥を吐かせる場合は、朝晩水は替えてね。半分捨てて、半分水道水を足せばいいよ。
なるほどな。洗ってあとは丸ごと食べられるんだな。冷凍はできないのか?
塩で洗った後、しっかり水を切れば、冷凍もオッケー。
食べきれない時はすぐに冷凍保存するといいよ。
こんなにお気軽で美味しいなんて、テナガは梅雨時の王様だな。


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